山吹の泉(万葉集)

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「先日、読書の秋だとか言っていたが、キョン、最近お前が読んだ本は?」

「『知識ゼロからの戦国武将入門』と『ビギナーズクラシックス 万葉集』」

「・・・・・・・・・。すごく・・・地味です・・・」

「お前、若いんだからもう少し・・・な?」

「なんだよ、どちらも面白かったぞ。初心者用というだけあってかなり読み易く、分かり易かったしな。特に戦国武将の方は小学生でも読めるはずだ」

「戦国武将・・・。ああ、だから現在ランダム表示のブログペット背景のうちの一つが・・・」

「気付いたか。実は最近、友人と伊達政宗の話で盛り上がってな」

「だからお前若いんだからもっと華やかな話を・・・」

「華やかな話ってなんなんだよ。大体な、派手・豪華ないでたちの人を『伊達者』と呼ぶのは、伊達政宗に由来していると言われてるんだぞ」

「へぇ~!」

「したがって、伊達政宗の話はちっとも地味な話題ではないと俺は言いたいわけだよ」

「どういう理屈だ・・・。そもそも、『伊達者』なんて言葉、今の若人は使わないだろう・・・」

「ヤングが使う言葉を取り入れる、果たしてそれだけが華やかさに繋がるのだろうか。むしろ、真なる華やかさとはもっと別のところにあるのではないか。・・・そう、例えば、美しい日本語・・・とかな・・・」

「なんだか珍しくまともっぽい話ですね・・・」

「ああ、気持ち悪いくらいにな」

「ほっとけ。とにかくそういう意味で万葉集の方も興味深かったぞ。まぁ、ああいったものは訳なしではチンプンカンプンだがな」

「でも、歌の意味を知らなくても、耳慣れているせいか五・七・五・・・のリズムは耳に心地いいですよね。・・・耳慣れているといっても私は日本人ではありませんが」

「祭りの太鼓の音を聞くと血が騒ぐのと同じように、短歌・俳句等に順応するリズム感のようなものも、日本人としての血に刻まれているのかもしれないな。・・・もっとも俺も日本人ではないわけだが」

「日本語喋ってる時点で俺もお前も日本人。・・・というわけでせっかくだから万葉集から俺のお気に入りの一首を紹介しよう。興味のある人は『続きを読む』で」



山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく

(訳・山吹が美しく咲いている泉に水を汲みに行きたいのに、その道を知らないことだよ)



「・・・とまぁこの訳だけ読むと、はぁそうですか、という感想しか持ち得ないが、実はこの歌は高市皇子(たけちのみこ)が十市皇女(とおちのひめみこ)へ向けた挽歌だと言われている」

「挽歌・・・死者を弔う歌ですね。してその意は?」

「黄泉、とは、黄色い泉、と書くだろう?だから、黄色い山吹の花が咲く泉とは、黄泉=あの世を指しているということなんだな」

「つまり、この歌の真意は、『黄泉の国にいるあなたに会いたいが、どうすればよいか分からない』・・・」

「ああ、そんな感じだ。どうだ、なかなか興味深いだろ?真意を知ると、想い人を亡くした高市皇子の悲痛な思いも、遥か時を越えて現代の俺たちの心に蘇ってくるようだよな」

「昔も今も、死者を悼む気持ち、相手を想う気持ちは変わらないんですね」

「しかし、皇子と皇女と言うくらいだから、高市皇子と十市皇女は血が繋がっていたんじゃないのか?」

「ああ、異母姉弟な。だが当時は父親が同じでも母親が違っていれば恋愛・結婚はOKだったらしい」

「やはり二人は愛し合っていたんですね!」

「うむ、そういう説が有力だ。しかし実際は十市皇女は大友皇子と結婚してしまったし、高市皇子の片想いだったという説もある。・・・両想いにしろ、片想いにしろ、この二人には色々あったんだ。・・・おっと、壬申の乱についてはますます話が長くなるので割愛」

「今も昔も一筋縄ではいかない・・・それが恋・・・」

「そういうことだ。・・・ただ、この『山吹の~』の歌はあまりメジャーでないのか、数ある万葉集の解説本でもなかなか取り上げられていないんだ。今回読んだ本にも載っていなかった。全く、可能ならば『もっと評価されるべき』タグを付けたいところだぜ」

「結局現代文化に毒されているじゃないか・・・。いや、しかしながら今回の記事は珍しく少しは勉強になる話だったな」

「まぁな。俺はやればできる子なんだ。・・・と言いつつ実はこの歌については、中学の頃に何を隠そうラノベがきっかけで知ったんだがな」

「ライトノベルも馬鹿にはできませんよね。特に時代物については勉強になるものが多いです」

「ああ。俺も学生の頃はラノベとゲームの知識でテストの点数をどれだけ稼いだことか・・・」

「学生の頃って・・・、お前、今でも学生じゃないか」

「おっと口が滑った。今の言葉は忘れてくれ、酒でも飲んで。・・・というわけで最後は酒に関する一首を」


あな醜 賢しらをすと 酒飲まぬ 人をよく見ば 猿にかも似む

(訳・ああ、みっともないよ。りこうぶって酒を飲まない人をよく見ると猿に似ているよ)



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「全くポカーンな短歌だよな。これは酒好きの大伴旅人(おおとものたびと)の歌だ」

「酒を飲まないだけで猿呼ばわりされちゃあたまらんぞ・・・」

「ただ単にお酒に弱くて飲めないだけかもしれないのに・・・」

「現代で言うところのアル中決定。・・・とまぁ恋あり酒ありなんでもありなのがまさに『万葉』と呼ばれる所以だったりそうでなかったりするのかもしれん。そんな感じで今回はこれにて終了」

「冒頭で美しい日本語がどうとか言いながら、結局酒で終わる。そんなオチか・・・」



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